私は以前、「治験コーディネーター」という職に就いていました。
この職業は、医療機関で治験がスムーズかつ適切に行われるよう、患者さんや医師、コメディカルスタッフの支援をおこないます。
具体的には、まず医師やコメディカルスタッフと相談しながら医療機関内での治験の流れを構築し、治験が実際に始まったら、候補者ピックアップの補助をします。
医師から患者さんの紹介がありますので、カルテを閲覧して、治験参加の基準に合っているかどうか細かくチェックします。
適格だと分かったら、医師の指示のもと患者さんに治験の紹介をして、同意が得られればいよいよ治験開始です。
その後は患者さんのスケジュールを調整したり、検査データなどを収集する報告書の作成を支援します。
これが業務一連の主な流れで、治験の進行具合によりこれら業務のいずれかを日々おこなっています。
治験コーディネーターは、看護師や薬剤師が兼務している場合もありますが、民間企業が医療機関と契約し、治験コーディネーターを派遣しているパターンもあります。
私は後者の方で、医療現場で新薬の開発に貢献したいという思いから、就職しました。
勤めていた会社は従業員1000名ほどで、所属していた部署は約400名、そのうち治験コーディネーターは250名程いました。
年収は300~400万程でまずまずですが、業務内容が多岐にわたり、また残業も多かったので、業務量に見合う収入ではありませんでした。
ですが、かなりやりがいのある仕事でした。
この職は、治験において誰よりも患者さんと深く関わるので、患者さんとの信頼関係が深まり、私が治療しているわけではないのに感謝されることが多いのです。
患者さんから「ありがとう」と言われると本当に嬉しく、これがこの仕事の楽しいところです。
一方で辛いことも沢山あります。
医師は気難しい性格の人が多く、理不尽なことで怒鳴られたり、なかなかアポイントが取れず仕事が進まないことが常にありました。
私はこれがとてもストレスになり、辛かったです。
でも総合的に見ると、治験コーディネーターがいなければ治験が進まないと言っても過言ではないほど重要な職業なので、この職に就きたいと自分の子供や友人が言った時には応援したいと思います。
ただ、業務は心身ともにタフでなければ務まらないため、ストレスや疲労をうまく対処できるような工夫を自分で見つけておくようアドバイスします。